派遣とプログラマ

現在の日本において「派遣」という言葉はあまりいい響きをもっていません。

一般的な派遣のイメージは「正社員になりたいけどどの会社にも就職できなかったので仕方なく派遣で働いている」といったところでしょうか。

しかし、2018年までプログラマと派遣は切っても切れない関係でした。

プログラマと言えば派遣だったのです。

仕事場は他人の会社

中小のソフト会社に正社員で就職しても、ほとんどの場合は他の会社で働きます。

いわゆるSESです。

SES(System Engineering Service)とはプログラマーが派遣先に常駐し、派遣「元」企業の指示で業務を行う「請負契約」です。

請負契約なので派遣ではありません。

請負契約なので派遣「先」企業は指揮命令をしません。

廃止された特定派遣

特定派遣とはプログラマーが派遣先に常駐し、「派遣先企業の指示で」業務を行います。

2015年の派遣法改正で廃止後、経過措置として2018年9月まではこの特定派遣事業を行うことができました。

たとえ開発が失敗しても月額いくら、時給いくらといった報酬が派遣元の会社に支払われました。

プログラムやシステムではなく、労働に対して報酬が支払われるためです。

そのため、派遣元の会社に開発リスクはありませんでした。

特定派遣の仕事がなくても給料は支払われる

もし顧客との特定派遣契約が終了しても派遣元の会社に正社員として雇用されているため、給料がもらえなくことはありません。

しかし、正社員は正社員でも数ヶ月単位の契約社員とし、顧客との派遣契約が終了したら契約社員の雇用契約を更新しないなどという会社が少なくなかったようです。

そのためか前述のとおり、派遣法改正によって特定派遣は廃止となりました。

偽装請負

偽装請負とは派遣法、または職業安定法に触れる違法行為です。

契約上は請負にもなっているにもかかわらず、顧客の会社に常駐し、顧客の指示で業務を行っている状態です。

SES契約であっても業務指示が派遣「元」企業でなく、派遣「先」企業から出ているようなら、偽装請負です。

本来の派遣

派遣会社に登録し、仕事がある時だけ派遣に行く仕事です。

冒頭で書いたとおり、この派遣(登録型の派遣)にあまりいいイメージはありません。

しかし、零細IT会社の特定派遣なら一般派遣と実態はたいして変わりませんが、一応は正社員でした。

特定派遣廃止がなければ、同じ給料ならどう考えても一般派遣より正社員である特定派遣を選んだでしょう。

もし、正社員は自由が利かないから一般派遣のほうがいい、というのであればフリーランスのほうが遥かに年収が高くおすすめです。

つまり、派遣でプログラマーの仕事をするのはまったくおすすめできません。

未経験で派遣?

1985年まで日本では派遣など認められていませんでした。

今日の派遣労働者の惨状を見れば当然と言うべきでしょう。

しかし、1986年の労働者派遣法により、専門的な13の業務に限って無期限の派遣が認められました。

  1. ソフトウェア開発
  2. 事務用機器操作
  3. 通訳・翻訳・速記
  4. 秘書
  5. ファイリング
  6. 調査
  7. 財務処理
  8. 取引文書作成
  9. デモンストレーション
  10. 添乗
  11. 建設物清掃
  12. 建築設備運転・点検・整備
  13. 案内・受付・駐車場管理等

その後、派遣はどんどん規制緩和されたのですが、ソフトウエア開発は労働者派遣法成立時点で既に派遣が認められているです。

これはソフトウエア開発には専門性があるという理由だと思われます。

実際、1980年代後半の派遣プログラマーはソフトウエア会社の正社員の特定派遣がほとんどでした。

派遣元の会社が「一応」技術教育と社会人教育をしてから派遣に出していました。

しかし、今や未経験のプログラマーの派遣は珍しくありません。

もちろん派遣で給料をもらいながらプログラムを学べるほど世の中は甘くないようです。

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